せっかくなので、鉄道写真の技術的な話でもちょっと書いてみようと思います。
技術が進むにつれて、鉄道車両の行先表示の方法も変化しています。
最初はサイドボード(サボ)に始まり、方向幕を経てLEDでの電光掲示板型になりました。
LEDも赤・緑・オレンジの3色タイプから青色LEDの発明を経て、現在はフルカラータイプが一般的です。
青が出せるって、実は本当は凄いことなんですよw
その辺の素子の違いとかは、照明を販売している自分の仕事にもつながるところがあるなぁ、と感じています。
光の3原色があるからこそ、フルカラーLEDが存在すると。
LED電光掲示板化によって何が起こるか、というと、フリッカー現象です。
主にスタジオや室内で撮影する際に、照明が交流の周波数に合わせて点滅しているように見える現象です。
人の目はいい意味でいい加減なので、たいていのちらつきは気になりません。
例えば蛍光灯が切れかけの時のチラチラするのは、人の目で見えるのでフリッカーと呼ばれることはありません。
ただの寿命です。
目に見えないちらつきを「フリッカー」と呼ぶことが多いようです。
撮影用の照明だったり、高価な機材だと内部のインバーター等の性能が上がって、
照明用の電源の電極切替は非常に高い周波数で行われていて、
よほどの速いシャッタースピードだったり(動画の場合)フレームレートだったりしない限りは、発生しにくくなっています。
フリッカーが起こるのは、
・シャッタースピードが速すぎるとき
・フレームレートが高すぎるとき
・照明のインバーターの性能がよくないとき
といえます。
鉄道写真の話に戻りまして、LED化が顕著に推し進められた私の学生時代は、
このLEDのフリッカーによって行先表示が切れてしまう、というのに悩まされ始めた時代でもありました。
電車は通常結構な速度で走行していますので、必然的にシャッタースピードもそれなりのものになります。
例えば方向幕を採用して物理的に常に表示されている状態であれば、シャッタースピードの影響を気にすることなく、
動いているものを止めることに集中できます。これの場合は1/500秒でした。
それがLEDになると、行先表示を切らないようにしようとすれば、必然的にシャッタースピードを遅くせざるを得ず、
結果流し撮りで被写体ブレを押さえなければなりません。
これの場合は1/200秒で表示は切れることなく写ってくれました。
まぁ天気が影響しているのは充分あるんですがねw
ここで問題になってくるのは、どのくらいのシャッタースピードにすればLED表示が切れないのか、
系列や車両によって異なる、ということです。
天気の状況が違ったので露出こそ違いますが、同じ日同じ場所で同じ1/200秒で撮っていますが、
このメトロ6000形の場合、LED表示が横に線が入っているのが分かります。
細かく検証したことはないので分かりませんが、表示部の面積や、
あるいはその部品の製造所によっても違うと聞いたことがあります。
それ以外だと平気なのに、東急車輌(現J-TREC)製だと1/125秒が限界、場合によっては1/60秒でも無理、とか。
まるでストロボ同調速度と同じような感じですね。
これがフルカラーになったことによって、ちょっとシビアになったような印象を正直持っていました。
ここにきておもくそJ-TREC製なわけですが()
フルカラーになったからなのか、生まれつきLED表示だからなのか、切れる方向が縦になりました。
LEDを意識して1/160秒にしていますが、それでも切れています。
面積もですが、動く向きもひょっとしたらあるかもしれません。
同じ日同じ区間の別のポイントで、今度は1/125秒です。
先ほどと違い、切るまでには基本的にこちら側に迫ってくるポイントです。
そのせいなのか、行先表示は切れていませんが、運用番号表示は縦に線が入っています。
面積が原因なのか、は正直ちょっと分かっていませんが、更新によってフルカラーLEDになったこちらは
1/500秒でも切れていません。車体の進行方向も相鉄11000系の1枚目とあまり変わらないにも関わらず、です。
実際問題、自分は基本的にあまりこのLEDの表示の切れをあまり気にせず、
第一優先は車体全体が止まっているかどうか、に重きを置いていました。
ですが東京ビジュアルアーツに入って、先生に無理言って校友会(OB会)の会合に混ぜてもらい、
校友会副会長の諸河久さんに写真を見てもらったことがありました。
そのときに「LED表示は切らない方がいい」と指摘をもらい、それ以降は表示器にも気を配るようにしています。
気にするようになってから流し撮りの練習もするようになり、この相鉄9000系の写真は「鉄道ファン」誌の特集にも掲載されました。
(先の11000系1枚目も、ではありますが)
フレームレートの話も書きましたが、動画をある程度勉強したので、
出かけることが出来るようになったら各形式、各フレームレートでどうなのか、ちょっとテストしてみようと思います。
その時にはNDフィルターも必要になりますねぇ…